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133.ハンバーグシンドローム [魚の病気]

前回の記事で少し触れたハンバーグシンドロームについて反響があったと言うか何と言うか・・・色々と問い合わせて頂いたので、前回と重複する部分も多いですが、もう少し詳しく書いてみました。

ハンバーグシンドロームとは・・・。
一般的に5cmを直前にむかえた稚魚の突然死・大量死症候群のことを言い、その詳しい原因や対策は現時点では確立されておらず、ディスカスの繁殖、管理で最も難しい期間と言われています。



 
photo:今は亡き改良のペア。このペア、産卵については遅咲きでメスが8歳、オスが7歳をむかえた秋から3年間産卵しつづけ、メスは力尽きる1ヶ月前まで産卵していた。
この症状について私なりに考察すると、ミルク離れして数週間経って免疫が低下してくるのと同時期に稚魚が色々な餌に興味を示すため「早く大きくさせたい」という自然な発想から大量給餌をしたり、ハンバーグを与えることで水質悪化や消化不良を生じて大量死に至ってしまうのではないかと考えています。

魚病学的に考えられるハンバーグシンドロームの症状としては、給餌量が多くなったことにより水質が悪化し、水槽内の雑菌や寄生虫の増殖がすすむことによってカラムナリス症、エロモナス症、ダクチロギルス症(エラ吸虫)を発病する。 また、ハンバーグを与えることによって水中に溶け出したタンパクが物理的にエラ細胞に絡みついた呼吸障害。 そしてハンバーグや赤虫など稚魚の未熟な消化器官ではまだ消化するのが難しいものを食べることによる腸管の詰り(腸閉塞)などが単独、または併発することによって大量死につながるのではないかと考えております。

これらの根拠として、ハンバーグシンドロームで死んだと思われるの稚魚のエラや腸管などを実際に切開して肉眼で確認したり、顕微鏡で確認したりしたのですが、エラが白く変色(酸欠)していたり、エラが肥厚していたり、虫らしきものでエラが炎症をおこしていたり、エラが黒く腐ったような状態になっていたり、腸管の閉塞が確認できたりと、それぞれのサンプルから見られる症状が上記の疾病の特徴的な症状でした。また、何度かのハンバーグシンドロームの失敗で自分なりにある程度原因と思われる疾病を読み説くことが出来たので、その後の繁殖ではそれらの疾病に注意し、管理を行うことで生存率が上がったことからも原因は上記の疾病であったのではないかと考え今回の考察に至りました。

ハンバーグシンドロームでは、特にエラにダメージを受けた稚魚が多く、エラを集中的にケアすることで死亡率は減少すると感じています。 症状が出てからではほぼ手遅れであることが多く、また、事前に症状を察知するのも難しいので症状を出さない管理、出る前の投薬など、そのタイミングが難しいように感じますので、ウチでは水質を保つことで対応し(場合によっては殺菌灯を使用)、それと同時に定期的なダクチロギルス対策(プラジカンテル、当時はプラジがなかったのでリフィッシュ)なども行っていました。

腸管に対するケアとしてはハンバーグを少量だけしか与えない、またはエラが完全に出来上がるまでは一切与えず、ブライン、ミジンコ、イトメなどの天然下で食べていると思われる餌をメインとし、人工飼料などは原材料の表記を見て自然下で摂取できないものが入っていれば与えませんでした。 ハンバーグを与えない理由としては、主原料である牛肉の脂肪は42℃前後の体温がないと分解できないので基本的に魚類では分解できない。特に稚魚の未熟な消化器官では、ほとんど分解することができず、下手すれば腸管に詰まり続けるので、それらの危険性を回避するためです。 

また大量給餌や消化できないものを与えた場合、腸閉塞だけではなく体全体の酸欠を招くのではないか?とも考えています。以前「ディスカポさん」が彼のblog内でも「食べすぎや消化できない餌を与えることで、無理に消化しようと稚魚の腸管の血流レベルがあがり、その反動で酸欠症状が出るのでは?」とコメントされてましたが、私も彼の意見同様、成長を早める為に餌を与えすぎる行為は腸閉塞と酸欠を併発させるので、良くないのではないかと感じています。

以上のことを踏まえて、もし今、私が繁殖させるのであれば・・・。

  • 水温を上げない。28℃前後で設定 (酸欠対策)
  • 水質をいつもクリーンに保つ。(細菌、寄生虫対策)
  • 殺菌灯などを設置し、雑菌、寄生虫に備える。(細菌、寄生虫対策)
  • 少しでもエラに問題があるようならプラジを投薬。(寄生虫対策)
  • プラジで回復が見えない場合はエルバージュを投薬。(カラムナリス対策)
  • ハンバーグを与えない、または少量与えるだけにする。(腸閉塞、酸欠対策)
  • 大量給餌はしない。(腸閉塞、酸欠対策)
  • できるだけ長く親に体着させておく。(免疫力向上)
  • phを低く設定しない。6.5~7.0で設定。(換水時のphショック対策)
  • 定期的にミネラル塩を入れておく。(エラのケア、浸透圧調整)


・・・っという風に生意気に考察をしてみたのですが、自分の中ではハンバーグシンドロームを克服して多くの稚魚を残すことが良いことなのかどうなのかがよく分かりません。 自然界では他の魚に捕食されたり、病気で命を落とす稚魚がたくさんいると思います。 1回で200匹、その気になれば1シーズンで1000匹以上の稚魚を生産できるディスカスですから、そのほとんどが生き残ってしまえば、アマゾン川はディスカスだらけになってしまうと思います。 しかしアマゾン川でも漁獲量があまり多くないディスカスですから、病気(ハンバーグシンドロームのようなもの)で死んでいく稚魚は自然淘汰を受けたことになると考えてもおかしくはない。 つまり弱いものは死に、強いものだけが生き残る。
水槽内では上記のように管理すれば7割以上の稚魚を生かすことはできるでしょう。でもやっぱりワイルドのSサイズの個体と自家産の同サイズの個体では根本的な「強さ」が違うように感じます。 確かに自家産は水質の変化(日本の水)に強い面はありますが、成熟も早いし寿命も短いような・・・。

それに無事にたくさんの稚魚を生かして成長させたとしても、その後、自分の手で淘汰しなければいけない日がやってくることを考えると・・・。 だから繁殖って悩んじゃうんだよね~。(^^ゞ 
みなさんはどのように思われますか?


コメント(8) 
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コメント 8

グータン

自然の法則と水槽での育成・・・ん~難しいですねぇ~。
僕もまだ一回しか体着・稚魚を飼育した事がないので勉強になります。
これからの参考になりました。
また色々と勉強させてください。
by グータン (2007-10-01 10:57) 

dora

こんにちわ
やっぱり自然界と水槽内では違いがでますよね~
水槽内では敵は居ないし捕食される危険もないし・・・・・・
餌は簡単に食べれるし・・・・・・

我が家の水槽内を見てもワイルドとブリード物では俊敏さが全然ちがいます。
僕はやっぱりワイルド物がすきなので稚魚が出来た時には少しでも自然界の雰囲気に近づけたいです^^
by dora (2007-10-01 16:13) 

たかあき

グータンさん

どこまで人間が手を出していいものか難しいですよね!?
水槽で生まれたのだから、多くの稚魚を残せばいいと割り切るのも
1つの考え方だろうけど、自分の手で淘汰するのが苦手で・・・。


doraさん
やっぱりワイルドと改良では同じ魚でも違いますよね?
ウチも現在飼ってる魚でディスカス以外はほとんど自家産なのですが
何か表情にしても動きにしてもワイルドとは違います。
カラーバリエーションの同じ魚であれば体型だけが少し違う程度だけど
ディスカスの場合、カラーも体型もワイルドとは全く違った表情に
なっちゃうから・・・・。
やっぱり私も原種が心底好きなんだなぁ~って思います。
by たかあき (2007-10-01 16:46) 

その生き物が自然界で摂取していないようなものを与える、
それが水槽という限られた環境だと、何かしら弊害が
起きてしまうんですね。
それを、ここまで考察されるのは凄いです!

繁殖をするということは、間引く事も頭に入れておかないと
いけないんですね。
うーん、それはちょっと辛いなー(><)
by (2007-10-01 17:29) 

discupo

おはようございます。
いろいろ考えていたらコメント書くのが遅くなってしまいました。

ディスカスって5年とか7年経っても産卵してくれるんですね。
自分は始めたばかりでこういう経験が無いから勉強になりました。

それと稚魚の淘汰の件、私はやっぱりディスカスをかわいいとも思うし、
ペットだと思っているんだけど、一番に錦鯉やランチュウのように血統や系統を
引き継いだり、より美しく改良、選別していく観賞魚だと思っています。
金魚や錦鯉に比べて歴史は浅いけど、ドイツの愛好家同士で研究していたり、
コンテストを開いている姿は、日本での錦鯉やランチュウの品評会と同じで
文化として成り立つと思うのです。
そのためには淘汰も必要だと思し、自分は良いと思うものだけ残しています。

まぁ、あまりに実際の現場を見すぎて、魚や家畜の命に対して感覚が麻痺している
部分もあると思うんで、その辺は境界線をしっかり持とうと思っています。
by discupo (2007-10-02 07:27) 

たかあき

motoさん

AQUAの世界も時代とともにエサや管理方法がすすんでいるので
親魚にとっては栄養バランスの面からも便利なエサがたくさん開発され
便利になってきてますが、バリエーションが豊富にありすぎて
反対に管理者が迷ってしまう・・・。
ハンバーグは良いエサには違いないんだけど、でもやっぱり稚魚には
時に悪影響も与えてしまう可能性も高い・・・難しいですね。(^^ゞ

淘汰に関しては、可哀想なことを自らの手で行わなければ元気に育つはずの
仔が病気になったり綺麗なDNAを残すことができなかったり・・・・。
これまた難しいですよね。


カポちゃん

いろいろ考えさせてしまったようで・・・ごめんちゃい。
もちろん俺も、必要に応じて淘汰はします。 錦鯉のブリードの時には
小赤サイズで模様が出てきた時から恐ろしい数の稚魚をトラに淘汰
させました。
ディスカスも同じく奇形や表現によって500円玉サイズでトラに淘汰して
もらいました・・・。
俺もカポちゃん同様、魚や家畜の命に対してかなり麻痺してます。
近々、春に繁殖させたスパイクテールもそろそろ成長に差が出てきたので
大きくなれない個体は淘汰も考えなければならないし。

逃げ道かも知れないけど、ウチの場合はトラや大型魚がいるので
彼らに食べさせることで少しは楽です。
ここが日本じゃかなくアマゾン川に面している地域なら川に放流できるのにね。
by たかあき (2007-10-02 10:04) 

よっちん

ディスカス シンドロームで 検索して 
ここに 行き着きました。
原種のネグロヘッケル♂とグリーンディスカス♀が ペアを組み
産卵孵化を続けていますが ハンバーグの移行になると 
バタ バタと 死んで いきます 現在は 200匹近くの孵化から
6匹の生き残り が います 
原種アレンカーのペアも70匹の稚魚は ハンバーグ移行の時に 
全滅でした
十数年前に 改良品種の繁殖を 頻繁にしていた時には 
ありませんでした。 原種のむずかしさ なのかと 思っています。
今日 ヘッケルとグリーンが 産卵をしています。
参考にして 頑張ります。
貴重な情報 有難うございます。

by よっちん (2008-08-21 01:25) 

たかあき

よっちん さん

改良に比べてワイルドペアは難しい面もあるかも知れませんね。
ハンバーグシンドロームを発症してしまうとなかなか止めるのも難しく
大変だとは思いますが、頑張って良い仔を残してくださいね。(^_-)
by たかあき (2008-08-21 19:04) 

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