So-net無料ブログ作成
検索選択

201.HLLE [魚の病気]

アルトナナイの目の上に幅5mmくらいの穴が!これは完全に頭部穴あき病ですね。(^^ゞ
この仔の太り具合から見て「ある程度の年齢になったら来るかなぁ~」なんて思ってはいたけど、案の定、ポッカリと穴が開いてしまいました。 状況から見て今のところ、それほど重症ではなさそうだけど、頭部穴あき病は油断していると直ぐに穴が大きくなり再起不能の状態になることもあるので、とりあえず治療開始です。 ・・・ってことで、今回は頭部穴あきの治療方法と、ここ数年で学術的にシクリッドの頭部穴あきの原因と解釈が若干変わってきているようなのでその新学説について少し触れてみたいと思います。
08082243.jpg
まず、現時点でので最新学説についてですが、最近はシクリッド特有の頭部穴あき病のことを「HLLE(Head and Lateral Line Erosion)頭部及び側線びらん=鞭毛虫性頭部穴あき病」と呼ばれることが多くなっています。既に海水魚の世界ではこのHLLEという言葉が使われているようですが、ディスカス界ではまだあまり馴染みがないように思います。

さて、このHLLEの原因についてですが、ディスカス関係の雑誌や専門誌、ショップなどの情報では「Hexamita intestinalis(ヘキサミタ・インスチナリス)」が腸管で増殖して発症すると言われてきました(当blogでもヘキサミタが原因と記載していました。この場を借りて以前の記事を訂正させて頂きます。)しかし2000年以降に発表されたHLLEに関する論文では原因はヘキサミタと非常に似た形質をしているSpironucleus(スピロヌクレウス)属の鞭毛虫。特に「Spironucleus vortens(スピロヌクレウス・ボーテンス)」によって引き起こされると考えるのが様々なデータより最も信憑性が高いとされています。

学説(原因となる鞭毛虫の種類が違ったところで)症状や処置についてもあまり変わりはないのですが、とりあえずいつまでも「ヘキサミタが原因だよ!」なんて言っているとディスカス界の発展がないように思うので頭部穴あきは「スピロヌクレウス・ボーテンスが原因なんだ!」っと言うようにした方がいいかも知れませんね。 古い学説に従っていると「海水魚」の人たちに置いていかれます。(^_-)

そしてこのスピロヌクレウスが腸管で異常に増殖する原因としては今までの説と同様で栄養失調、栄養バランスが悪い、水質(硝酸塩によるストレス)、他各種ストレス、カルシウム、リン、ビタミンD不足などがあげられています。またこの他に個人的に付け加えるとすれば「太りすぎ」「過食個体」「ハンバーグを好む個体」などと言った人間で言うところのメタボや「老個体」「巨大メス個体」にも発症する確率が上がるのではないかと考えています。

結局HLLEの予防するにはある程度広目の環境で美しい体型を保ち、自然の餌(赤虫や糸ミミズなどを多めに与え)良好な水質を維持する。つまりストレスフリーが一番なんでしょうね!? ・・・って、HLLEを発症させておきながら偉そうにウンチクたれてても説得力ゼロですね。(^^ゞ でも、混泳してたら食うヤツは我先に食っちゃうし!!・・・言い訳ですけど。(^^ゞ
08082254.jpg
さてさて話を戻して肝心の発症後の処置ですが、基本的に原因寄生虫の名前が変わったところで同じ鞭毛虫なので特効薬は「メトロニダゾール(フラジール)」になります。この薬は鞭毛虫のDNAの二本鎖を切断し、増殖を抑制するので効果が発揮されるまでは経口投与で最低3日、できれば1週間程度食べさせることで「新たな発症」はなくなると思います。 既に開いた穴に関しては体力のある個体であれば1週間~1ヶ月ほどで自然治癒しますが、病巣が大きい場合や穴が深い場合はエルバージュで患部が落ち着くまで(1週間程度)薬浴すればいいと思います。

今回は現時点のアルトナナイ状態から見て薬浴はとりあえず必要ないように思ったので内服用のフラジールを乳鉢で粉にして写真のように解凍したハンバーグにふりかけて1日2回ほど与えて様子を見ていますが今後患部の拡大や二次感染の可能性が出てきた時には迷わずエルバの投入も考えています。 ちなみに内服用フラジールを使っているのにはこれといって大した意味はありません! 嫁にフラジールを買ってとお願いしたら発泡錠じゃなく内服用を1ケース注文しちゃったので薬浴以外の用途で使う場合はこっちを使っているだけです。「なぜ?内服なの?」って質問がきそうだったのでとりあえず前もって書いておきました。(^_-)

それからこれも以前あった質問なんですが「市販の虫下しハンバーグじゃダメなの?」っていう質問には、ショップで売られている虫下しハンバーグは何の薬がどれだけ入っているか分からないからウチでは使わないことにしています。お店で成分などを教えてくれるのであれば用途に合わせて使えばいいと思いますが、ほとんどの場合、企業秘密だと思いますのでそういった理由からウチでは用途に応じて1回に与える量のハンバーグだけを解凍してそれぞれの薬をふりかける方法で経口投与しています。虫下し用にまとめて混ぜ込んで作っておくと冷凍焼けや成分の変性、酸化などが起こりますし、鞭毛虫ならフラジール、鰓吸虫、条虫ならプラジカンテルなどという風にケースによって対応できないし、何より薬剤も無駄になりませんしね。 薬剤の量に関しては適当にふりかけています。色々計算して計って混ぜたところで水に入った時点で散らばるので1匹がどれだけ食べるか検討もつかない。なのであまり神経質に考えていません。ちなみに魚病学的に有効とされる分量は魚体重1kgにフラジール30mgくらいだったと記憶しています。またディスカスの成魚は150gくらいなので几帳面な方は計算して調合してみてください。(^_-)
コメント(8) 

コメント 8

闘魂親父

ご無沙汰しています。闘魂親父です。
「頭部穴あき病」の詳細を初めて知りました。やはり、体内寄生虫の繁殖が原因なのですね、ヘキサミタ説は巷に広まっていましたが、黄糞等の合併症状が無い場合が多いため他の要因でないか知りたかったことです。たかあきさんの勤勉さにはいつも感服しております。

私の場合、過去に「頭部穴あき病」の予防、治療として「ミミズの給餌」に関する報告を読んだ記憶があり、最近も実践しております。ミミズと言っても糸ミミズではなく、寄生虫の心配が低い「シマミミズ」のを使用しています。
栄養面などから考えても「ミミズ」はとても優れています。「シマミミズ」を釣具屋さんで購入し、きれいに洗浄して5mm程度に刻んで与えています。生きた状態です。うねうね動くのでちょっと残酷。
もぐもぐ、ぺっというしぐさは無く、もぐもぐ、ごっきゅんと飲込んでしまいます。
1週間に1度或いは2週間に1度ですが初めての給餌のときから爆食しております。
効果はと言いますと給餌後から、穴あき病は発病しておりません。発病時、エルバージュの薬浴と「ミミズの給餌」は確かに効き目がありました。糞も良い感じです。回復も早いと思います。
ミミズの成分中の何が良いのか分かりませんが、抗ストレス作用も強いように感じます。「穴あき病」の場合一挙に食が落ちることもありませんので私的には「シマミミズ」お勧めです。しかしながら使用の際は自己責任でお願いします。


by 闘魂親父 (2008-08-27 09:20) 

たかあき

闘魂親父さん

ヘキサミタ自体、糞検で確認されることが多いものの、穴あき発症個体から100%発見されることがないようで、その代わりにSpironucleus vortensは100%に近い確率で出るそうなので、論文上ではSpironucleus説の方が有力みたいですね。

闘魂親父さんが試されてるようにオスカーなどの南米シクリッドの穴あきでは栄養失調説の改善としてミミズを与える方法が論文にも記載されてました。これはかなり有効な手段みたいですね!? ウチでは実際に使っていませんがディスカスが食べるのであれば素晴らしい餌かも知れませんね。

最近有名?欧米産ミミズを使ったサプリなどではミミズの内臓からルンブルクスルベルスという酵素を抽出し、その酵素には血栓を溶かしたり、動物性タンパクを効率よく分解するなどの報告例もあるので、土中の豊富なミネラルやこれらの分解酵素で穴あきが改善及び予防できるのかも知れませんね?

糸ミミズではなく、あえてシマミミズを使うのには色々なデメリットを考えると素晴らしい選択ですね。シマミミズを手に入れることが出来たら私も試してみます。ありがとうございました。
by たかあき (2008-08-27 10:58) 

日光岩魚

穴明きの原因の古い情報を調べると、諸説ありましたよね。
ヘキサミタとか、ハンバーグのせいとか、水質とか
古い情報は断片的で水質や栄養の偏りを寄生虫の増殖と切り離していたものが多く、因果関係が見えずにとまどいました。
論文に目を通して常に新しい情報を取り入れる、たかあきさんの姿勢は
実に素晴らしいと思います。自分も見習わなくては…
スピロヌクレウス・ボーテンス…しかと覚えました。
ディスカス、海水魚、古代魚、錦鯉、水草…アクアの世界ってなぜか
お互いの最新情報を共有する機会が少ないですよね。
そんな中で他の分野から情報を取り入れて発信してくれる
ハイアマチュアの方の存在は貴重です。
やはりC'ZONEは一味違いますね。
by 日光岩魚 (2008-08-27 20:00) 

たかあき

日光岩魚さん

昔から寄生虫学の世界では魚類も含めすべての生物に寄生虫が寄生し症状が出るのは免疫低下が原因である・・・って言うのが基本みたいですね。そんな中でも寄生虫症の情報で諸説あるのは、結局は専門家以外の人間の情報が先行し錯綜してしまっているみたいです。

一昔前の白糞=キャピラリア説も今となっては誰も口にしないのが良い例でしょうか? ディスカスからキャピラリアなんてそう簡単に見つかるものではありませんしね。

穴あきに関しても本当の専門家からみれば話は単純なことみたいで結局は何らかのストレスによる消化器系の免疫低下が原因。マニアやショップの情報ってもちろん貴重ですが、100%信用するのもちょっと危ないかも知れませんね!?それらの情報は情報として+α魚病学、寄生虫学などの情報もちゃんと考慮してからじゃないと・・・。

情報共有の件、確かにアクアの世界は共有が不十分かも知れませんねこれも自分の飼っているものが一番だという愛好家精神のようなものが先行するので見えるものも見えなくなるのでしょうか!?

自分も最近になって色々な魚種を飼ったり、飼育魚以外の魚の特性を調べたりするようになって、それらの「偏見」のようなものがなくなって、「ディスカス」ではなく魚として見るようになってから変わったような気がします。
とは言っても自分も所詮、一般人であり、検索する論文も初めから終わりまで全て読んでいるわけでもないので情報が中途半端かも知れません。英字に専門用語・・・一般人にはやはり全て理解するのは無理ですから。(^^ゞ
by たかあき (2008-08-28 00:09) 

moto

頭部穴あき病の予防には、健康な状態を維持して、バランスの取れた
エサを与えるんですね。
うちは、アカムシ中心なので、他のエサの割合を増やしていこうと思います。
食べてくれるかは、別の問題ですが^^;

うちにも、内服用フラジールが1ケースあります。
私が注文する時に、発泡錠と告げるのを忘れたからなんですけどね><


by moto (2008-08-28 18:53) 

たかあき

motoさん

穴あきは全て「ストレス」って言葉で片付けられちゃいそうな感じです。「学術的には」ですけど。 その中でも餌は重要かも知れませんね。でも、ハンバーグ中心より赤虫中心の方が絶対いいと思いますよ!主食は赤虫って感じですかね?まぁ~その他栄養素を与える為にハンバーグは使わざるを得ないアイテムですが、今回、上でコメントして頂いた闘魂親父さんのように食べるようであれば、また手に入れることが出来るのであればミミズもいいかも知れませんね。今回の記事を書く上で見た論文にはミミズと言うキーワードがいっぱい出てましたから!

motoさんちにも内服用がいっぱいあるんですね~ ウチもいっぱいあって薬浴には少々使いづらいし、経口投与であればある程度定期的に使えば内服用も便利かなぁ~なんて最近思ってます。(^^ゞ
by たかあき (2008-08-28 19:18) 

阿波

お久しぶりです

やっと仕事も一段落して
これでチョクチョクお邪魔できます

あいかわらず 素晴らしい 
たかあきさんのブログって
ディスカスの医学書的になってますよね
沢山の方があてにしちゃってますから(私も含めて)
これからも宜しくお願い致します

追伸
稚魚・・・・全滅しちゃいました・・・・
by 阿波 (2008-09-02 10:46) 

たかあき

阿波さん

お久しぶりです。 お元気でしたか?(^^♪ 
お仕事、忙しかったんですね!? お疲れ様でございました。(^_-)-☆

稚魚たち・・・残念でしたね。
夏場の稚魚育成って、暑いし、水も痛みやすいし結構条件的には
厳しいですからね~ でも、まだまだ産んでくれるペアがいるんだから
リベンジしてくださいね。 今からが本格的な産卵育成シーズンですから。

by たかあき (2008-09-02 13:21) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。